親なきあとの子どもの住まいが心配です。うちの子は一人で暮らして行けそうにありません。
一人暮らしができない人・したくない人は、障害者支援施設やグループホームで暮らすことができます。
一人暮らしをしたいけど不安のある人は、一人暮らしをサポートする様々なサービスを使うことができます。
代表的な住居タイプの特徴と費用などを見て行きましょう。
住居タイプの特徴と費用一覧
障害者支援施設への入所
比較的支援が必要な方(障害支援区分4以上、50歳からは区分3以上)が施設に入所して暮らすのが障害者支援施設への入所です。
同じ施設内で日中活動を行うことが可能ですが、施設外の他の事業所へ通所することも可能です。
障害のある人も地域で暮らすべきとの国の方針により、施設入所からグループホームなどへのシフトが進められていいます。新たな支援施設の設立は今後見込まれず定員に制約があるため、常時支援が必要な方の住まいと考えていいでしょう。
入所にかかる費用
入所サービス利用料+食費・光熱費がかかりますが、収入が多くない限り自己負担はなく、手元に毎月2万5千円以上残るように給付金が支給されます。
- 入所サービス利用料は障害福祉サービスに該当するため収入に応じた負担(最大1割)となりますが、障害基礎年金+工賃程度の収入であれば自己負担ゼロとなります。
- 食費・光熱費を負担したあとに、少なくとも毎月2万5千円手元に残るように補足給付金がでるようになっています。
- 余暇や趣味にかかるお金、おやつやジュース代、散髪代や生活用具などは自分で負担することになります。
グループホーム
世話人や生活支援員のサポートを受けながら、障害のある人達が一緒に暮らす場が障害者グループホームです。掃除、洗濯、食事、片付けなどの家事や、入浴・排泄の手伝い、日常使う現金や薬の管理、また諸々の相談に乗ってくれるなど、苦手なところをサポートしてもらうことができます。
一戸建ての中に各自の部屋と共同のリビング・風呂・トイレ・洗面所などがあるタイプや、各自の部屋が独立したマンションタイプのホームなど形態は様々です。一緒に暮らす人数も様々ですが4~6名程度のホームが多いでしょう。
平日の日中は仕事や他の事業所に通所することを前提に、グループホームのサポートは平日の夕方から朝まで及び土日・祝日となるホームが多いですが、平日の日中サポートも行う日中サービス支援型と呼ばれるグループホームも出来てきています。
比較的多くの支援を必要とする人を受け入れるグループホームが増えてきていますが、グループホーム入居者の支援区分の分布と、認定された支援区分全体の分布に差があることから、多くの支援を必要とする人の受け入れはまだ少ないと言えるでしょう。
運営母体は、大手社会福祉法人からグループホームのみを行う小規模事業者まで様々で、サービスの質も様々ですから、利用にあたっては他の利用者の話を聞くなどよく検討した方がいいでしょう。
ただ、障害の種類、支援区分、性別などによりグループホームの空きとマッチする/しないがあることに加え、地域によってはグループホームが不足しているところがあり、思い通りの時期や場所に入居することができないこともあるため早めに情報収集した方がいいでしょう。
空きが少ない地域で、すぐに入居する気はないけれども将来に備えて入居の希望を伝えておいた場合、空きが出た際には即入居を決断しないといけないため非常に悩ましいところです。
グループホームにかかる費用
グループホーム利用の自己負担平均は61,561円/月となっています。
この金額にはグループホームのサービス利用料は含まれませんが、グループホームは国が定める障害福祉サービスなので、障害基礎年金+工賃程度の収入であればサービス利用料の自己負担はゼロとなります。
利用者負担 61,561円/月の内訳(除くサービス利用料)
- 家賃 21,549円(国・自治体による助成後)
- 食費 20,409円
- 光熱費 10,266円
- 日用品費 3,869円
- その他生活費 5,468円
データ出典:「グループホームを利用する障害者の生活実態に関する調査研究」平成 31 年 一般社団法人日本グループホーム学会調査研究会
自己負担費用のうち、特に家賃は場所により大きなばらつきがあります。また、収入が低い場合に、国から家賃助成が1万円でますが、それとは別に独自の家賃助成がある自治体があることも自己負担額のばらつきを大きくしています。例えば、東京や千葉は収入に応じた独自の家賃助成がありますが横浜にはありません。
ホームページに入居者負担額を開示しているグループホームがあるので近くのグループホームを検索してみると相場がわかるかもしれません。
グループホームに支払う金額以外の個人的な生活費や小遣いなどは別にかかります。
一人暮らし
苦手なところを補ってくれる障害福祉サービスなどを使いながら一人暮らしされている人がたくさんいます。一人暮らしに役立つ代表的なサービスをいくつかみてみましょう。
居宅介護(ホームヘルプ)
ヘルパーが自宅に訪問し、調理、洗濯、掃除などの家事や生活必需品の買い物の援助、入浴、排せつ、食事などの身体的な介助、通院の付き添いや役所での障害福祉に関する相談の介助、生活に関する相談・助言などを行います。
障害支援区分や単身・同居人有無などにより利用できる最大時間量が決められます。
全国一律サービスで、障害支援区分1以上の人が利用できます。支援区分に非該当の場合は、自治体独自で似たようなサービスがないかチェックしてみるといいでしょう。
移動支援(ガイドヘルプ)
ガイドヘルパーが外出時の移動支援をします。
どこへでもガイドしてくれる訳ではなく、社会生活上必要不可欠な外出と、余暇活動など社会参加のための外出に限られます。例えば、役所・銀行などでの手続き、身内の冠婚葬祭、選挙の投票、カラオケや映画、美術館へ行くなどです。
通学・日中活動場所への通所など長期にわたり繰り返される移動には利用できないとされていますが、自治体によっては可能なところがあります。
一人暮らしに限らず家族と同居していても利用できます。
自治体が事業主体のサービスなので、内容や料金などは地域により様々ですが、ほとんどの自治体で月当たり利用時間の上限が定められています。
自立生活援助
一人暮らしを始めた人や、施設や病院から退所・退院した人などの居宅を定期的に訪問し、食事・洗濯・掃除・ゴミ出しなどの状況、公共料金や家賃などの支払い状況、身心や通院の状況などについての確認や、通院・買い物などへの同行、必要な助言や関係機関との連絡調整などを行うことで自立した生活を送れるように支援します。
週1~2回の定期的な訪問だけでなく随時の相談もできます。標準的な利用期間は1年以内ですが必要があればさらに1年の更新が可能です。
似たサービスに自立訓練(生活訓練)がありますが、自立生活援助は居宅に訪問してくれるのに対して、自立訓練(生活訓練)は事業所に出向くことが一般的であることや、同行による支援や夜間の緊急対応が自立訓練(生活訓練)にはない点が大きな違いです。
サービス利用料は?
居宅介護(ホームヘルプ)、移動支援(ガイドヘルプ)、自立生活援助は障害福祉サービスですので利用料は原則1割負担ですが、収入が障害基礎年金+工賃程度であれば自己負担ゼロで利用できるでしょう。
ただし、移動支援(ガイドヘルプ)については自治体により料金や自己負担上限が違いますので詳しくは役所に問い合わせてみてください。
日常生活自立支援事業(社会福祉協議会)
全国にある各地域の社会福祉協議会が、日常の預金の出納や支払いの代行・サポート、通帳などの保管、障害福祉サービスの利用手続きのサポート、職員による定期的な訪問などをします。
自分一人ではお金の出し入れや支払いが心配な人などには頼りになるサービスです。本人に契約できるだけの能力が必要となります。
各地域の社会福祉協議会によるサービスなので、国や自治体による障害福祉サービスとは料金が別体系になります。
例えば、横浜市での利用料は、定期訪問・金銭管理サービスが定期訪問1回につき収入に応じて1,250円から2,500円(生活保護受給者は0円)、預金通帳など財産関係書類等預かりサービスは月額250円(生活保護受給者は0円)となっています。サービス名称、詳細内容、料金などは地域により違う場合があります。
これ以外にも自治体独自のサービスや地域の社会福祉協議会による独自サービスがあるのでチェックしてみてください。
一人暮らしのコスト
賃貸アパート・マンションでの一人暮らしは、家賃がかかるうえに光熱費も一人で全て負担するのでグループホームと比べると費用は高くなる傾向にあります。
自己所有の戸建て・マンションに住む場合、家賃はいらないものの毎年かかる固定資産税に加えて、マンションでは管理費と積立修繕金、戸建てでは修繕維持費が随時かかりますので居住コストが安いとは限りません。将来のお金を考える際には家の維持費用を忘れないようにしましょう。また、家の維持管理を自分一人でできない場合は、サポートしてもらえる親族・知人か成年後見人等が必要となってくるでしょう。