親なきあとに備えて今やっておいた方がいいことはありますか?
親御さんの万一に備えてやっておいた方がいいことと、子どもが学齢期のあいだにやっておいた方がいいことがあります。
親の万一に備えて
遺言を書く
親に万一のことがあった場合、遺言がないと、遺産を思い通りに配分できないばかりではなく、判断能力が十分でない成人した子どもがいる場合は成年後見人をつける必要に迫られる可能性があります。亡くなっていないもう一方の親が子どもの面倒を十分見ることができる年齢であっても、成年後見人は一回つくと外すことができません。遺言執行者を指定した遺言を夫婦二人ともが書いておくことは、そのような事態をさけることに有効です。
なお、子どもが未成年の場合は判断能力にかかわらず、親や特別代理人が相続手続きや遺産分割協議を行うため成年後見人をつける必要はありません。
子どもが成人したら”とりあえず遺言”を書いておくと安心です。
子どもの記録を書く
親に万一のことが急に起こった時に、子どもが適切な支援を受けるためには、支援者たちが子どものことをよく理解している必要があります。子どもを理解してもらうためには、子どもの記録を残しておくとが有効です。
様々な団体等が記録のひな型を作っています。ひな型を参考に、家族に合ったオリジナルの記録を作ってみるのもいいかと思います。
子どもの性格や特性についてはネガティブな表現を避けてポジティブなトーンで書くようにするといいでしょう。子ども本人が記録を読む可能性があることと、それを読んだ支援者が子どもに好印象を持つことが期待できるためです。
親のエンディングノートを書く
障害のある子の有無にかかわらず、エンディングノートを書いておくことで残された遺族が露頭に迷うことが少なくなります。
特に、一人親で、子どもが障害のある子のみの場合は万一に備えて早めにエンディングノートを書いておくといいでしょう。親が亡くなった際、親族や支援者等が死亡後の手続き等をすることになりますが、親についての情報はあまり持っていないでしょうから困難が予想されます。エンディングノートがあることで死亡後の手続き等がスムーズにでき、親族・支援者等は子どもの面倒を見ることに集中しやすくなるでしょう。
子どもが学齢期のうちにやること
判断能力が十分でない場合、判断能力や意思能力が必要な手続きを成人してからやろうとすると成年後見人制度の利用を求められることになります。親権が使える未成年のうちに親が代理でやっておくことで、成人してから手続きをする必要がなくなるものがいくつかあります。手続きによっては未成年ではなく15歳未満等でないとできないものがありますので早めにやっておいた方がいいでしょう。
銀行口座開設
給与や障害基礎年金・手当の受取り、費用の口座引き落とし等で銀行口座はいずれ必要になります。親が手続きできるうちに子ども名義の銀行口座を開設しておくといいでしょう。お金の移動等を子どもの代わりに親がやることに備えて、キャッシュカードとネットバンキングを利用できるようにしておきましょう。
予備的な意味も含めて2つほど銀行口座があった方がいいかもしれません。
親が子どもの口座開設手続きを代理で行える子どもの年齢は、13歳未満、15歳未満など銀行によって違います。利用したい銀行があれば調べておきましょう。
すでに開設している子ども名義の銀行口座に、お金をたくさん貯めている、積み立てている場合は、一旦立ち止まって必要かどうか考えた方がいいでしょう。詳しくは記事「必要以上に残さない」の ”子ども名義の預金口座にお金をためない” をご覧ください。
マイナンバーカードの取得
写真付きの身分証明としてマイナンバーカードは便利です。15歳未満であれば法定代理人として親がカード交付の意思を示すことで取得することができます。15歳以上になると、本人の意思をカード交付窓口で示す必要があり、意思能力が十分でないと判断されると交付してもらうことができません。
証券未成年口座の開設
将来子どもに投資信託等の資産を渡したい、あるいは投資信託を子ども名義の証券口座で積み立てたいと思っているのであれば、18歳未満の子どもの証券未成年口座を親が開設しておくといいでしょう。子どもが18歳になると成人向けの口座に移行されます。子どもが未成年のうちは親が取引主体となり証券等を取引することが可能です。
未成年口座は全ての証券会社が取り扱っているわけではなく、また内容等も会社によって少し違います。未成年口座を開設するには、その証券会社で親が証券口座を持っている必要があります。
まとめ
親の万一に備えて今やった方がいいこと
- 夫婦ともに遺言執行者を指定した”とりあえず遺言”を書く
- 子どもの記録を書く
- 親のエンディングノートを書く
子どもが学齢期のあいだにやった方がいいこと
- 子ども名義の銀行口座を作る
- 子どものマイナンバーカードを作る
- 証券未成年口座を作る(子どもに株・投資信託等を残したい場合)